イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!

「ふふふ二人って、もしかして……本物の兄弟っ?」

あわあわとしがみつきながら尋ねると、きょとんと坂田くんは目を瞬いた。
「ん? そうだけど」

いやいや、そんなあっさり言わないでよ!

「おれ、さっき呼んだと思うけど、“兄貴”って」
タトゥーの男……英二くんもそう言うけど。

「わたしてっきり、舎弟、みたいな感じかと……」

ぼそぼそ告白したら、2人はどっと大爆笑。

「くくっなんだそれ、ウケるな、シャテーって」
「あはははは……いいね、それ! じゃあ美弥子さんのこと、(あね)さんって呼ぼうか」

うわ、英二くんて、こんなに屈託なく笑う人だったんだ。
こうしてると目元とか、やっぱり坂田くんとよく似てるな。

DNAのなせる技(?)に、なんとなくこっちまでニヤってしちゃう。

「も、もうっ笑わないでよ。兄弟がいるなんて知らなかったんだから、仕方ないでしょ!」

狭い玄関先がなぜか和やかな笑いに包まれたところで。


バタバタバタ……

ドアの向こうから、複数の慌ただしい足音が聞こえた。
そして。

ガチャっ!


「中村さんっ!」

なだれ込んできたのは、宇佐美さんと日向さん、それから……警察官だった。

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