イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!
「ぶっ……大丈夫かよ」
笑い交じりの明るい声に思い切って顔を持ち上げると、高級っぽい濃紺のスーツ、そして。
プレスの効いたズボンのポケットに手を突っ込んで、肩を揺らす坂田くんが見えた。
「あはは、ちょっとびっくりしちゃって」
ぎこちなく口の端をあげながら、キョロっと目だけを動かせば。
光莉ちゃんや梓沙さんをはじめ、みんなが全身を耳にしてるのがわかって、もう居心地悪いったらない。
ええと、とりあえず。
何か、何かしゃべらなくちゃ。
「お、お疲れ様。えっと……その、……」
やっぱりビンタのこと、詰りに来たとか?
考えられるとすれば、それしかない。
土下座して謝れ、とか? 今、ここで?
どうしよう……
ビクビクしながら、彼の様子を伺う。
けど――彼は、眦を緩めたまま、柔らかく微笑むばかり。
怒ってる、って雰囲気じゃないような……でも、じゃあ一体目的は……?
「今週の木曜、午後4時から会議室使いたいんだけど、予約できる?」