イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!

子どもをあやすように言い、くしゃっと頭を撫でてくれて。
それから彼の身体は、あっさり離れてしまう。

「ど、どうして……?」

ぽっかり空いた隙間を埋めるように手を伸ばすと、その指先に彼がちゅっと吸い付いた。

「流されて抱かれてほしくない。特に今夜は、あんなことがあったしな」
「でもっわたし、平気だよ? 坂田くんは河合さんとは違うし、――」

「美弥子」

気遣うように慎重に、彼はわたしの身体を抱き起し、その腕の中に包み込む。

「焦らなくていい。もうこの先ずっと、お前のこと放すつもりないんだから」

トクン、て鼓動が跳ねた。
甘酸っぱい喜びが広がって、顔がゆるゆるだ。

「ずっと?」
「あぁ、ずっと」

どうしよう。
幸せで幸せで……溶けちゃいそうだ。

再び潤み始めた目元を隠すように、その胸元にぐりぐり顔を埋めた。

笑いながら受け止めてくれる彼に、抱き着いて深呼吸する。


あぁやっぱり、この人に恋してよかった――


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