イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!
そして翌日。
「お、赤信号だ。食わせて。ほら、早く」
車が停まるなり催促されたわたしは、大急ぎで膝の上の箱からチョコを一粒摘まみ、運転席へと差し出した。
「んっ……んまい」
パクっと指ごと食べられそうになって、慌ててチョコを放す。
「ね、ねえ、自分で食べればいいじゃない?」
チラチラ、どうしても気になって前方を確認すると……
うわ、やっぱり見られてた!
前の車、後部座席に座った子どもたちが顔をそろえてこっちをガン見してて、どんな羞恥プレイだと全身赤くなる思いだった。
「ハンドル離したらあぶねえだろ、事故になるかも」
「そ、そうだけど……」
うぅ、どうしてそんな平気そうなのあなたはっ!
「もう1コくれ」
「で、でも……」
「なんだよ、それオレにくれたチョコじゃなかったっけ?」
「それは、そうだけどっ」
「信号変わるから早くしろ。ほら、あーん」
口をパカッと目の前で開けられてしまい、しぶしぶチョコを投入……しようとした途端、ちゅるっと柔らかな唇に吸われて。
ひぃっ! と悲鳴を上げながら指を引き抜いた。
「坂田くん、絶対ワザとやってるでしょ!」
「んー? なんのことだ? お、これミントだな。美味い」
上機嫌の彼から箱へと視線を移す。
まだ半分以上残ってるじゃないか。
もしかして、目的地に着くまでこのプレイ、続けるわけ?
わたしはもう一度、心の中で悲鳴を上げた。