イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!

「お袋ー? 帰ったぞ」

「お邪魔します」

声をかけて、上がらせていただく。
でも、室内はしんとしてて、いくら待っても返事がない。

「寝てるのかな?」
「まさか。もう昼だぞ?」
「買い物とか?」
「到着時間、ちゃんと知らせたのに?」

顔を見合わせたわたしたちは、廊下を進む。

「2階見てくる。ベランダに出てて、聞こえないのかも」

「うん、ここで待ってるね」

階段を上がっていく坂田くんを見送って、チラリと奥を覗くと。
キッチンとリビングダイニングになってるみたい。

他人の家でウロチョロするのも、と思ったけど……
もしかしたら、勝手口から外にゴミ出し、なんてことはないかな。

思いついて、何気なくキッチンに足を踏み入れ――……心臓が止まるかと思った。


しのぶさんが、倒れていたから。



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