イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!

やっぱり、ショックだよね。心配だよね。
お母さんが倒れたんだもん。

我慢できなくなってそっと腕に触れると、ぴくっとその肩が跳ね。
そして切れ長の瞳がわたしを見た。

「美弥子、オレ――」
「兄貴っ! 母さん倒れたって!?」

ドアが勢いよくスライドし、叫び声と共に駆け込んできたのは、英二くんだ。
いつぞやの、テカテカ光るシルバーコートを羽織った彼の顔は青ざめていて、汗で金髪が顔に貼り付いてる。
相当急いでやってきたんだろう。

「あ、美弥子さん……母さんはっ?」

「まだ目を覚まさないけど、大丈夫だと思うよ。先生は異常ないって言ってた」

わたしの言葉にホッと肩を落とした彼は中に入ってきて、坂田くんの脇へ立つ。

「兄貴、まさか……また? クリスマスでもないのに」

「さぁ……違うと思いたいけど。何か口にした形跡はないってことだから」

ん?

え? ちょっと待って。
今2人、何て言った?

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