イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!
「……へ?」
パカッ、とバカ、いやカバみたいに口を開けてる間抜け面の自分に気づき、
大急ぎで閉じた。
そ、そりゃそうだ、仕事の話に決まってる。
ここはオフィスなんだから!
安堵と羞恥心がない交ぜになった顔を隠すように伏せると、マウスに飛びついた。
「あの、場所は、どこがいい?」
声が震えないようお腹に力を入れつつ、システム画面を確認。
「第3って小さめだっただろ、そこで充分かな。ただの打ち合わせだから」
「うん、大丈夫、空いてる。予約入れておくね」
「ん、サンキュ」
「でも、イントラにアクセスすれば、わざわざここまで来なくても予約できるよ?」
アシスタントが不在でわからなかった、とか?
何気なく尋ねたら。
こっちを見下ろしていた彼が、その形のいい眉をわずかにひそめた。
こんなさりげない仕草でもイケメンがやるとやけに雰囲気が出るんだな、と妙なことに感心してしまう。
「金曜の夜、大丈夫だったか?」
「……は?」
「家まで送れなかったからさ。無事に帰れたかって、ずっと気になってて。オレ、お前のラインも何も知らねえし」
眼差しは気遣わし気で、揶揄うような色はない。