イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!
思わず姿勢を正して、彼らへと身体を向けた。
「ねえ、“また”って何? こうやって倒れること、前にもあったの?」
もしかして持病でもあったんだろうか。
もしそうなら早く先生に言わないと、と続けると、しのぶさんに視線を合わせたまま、坂田くんが小さく首を振った。
「そうじゃなくて。ただ……お袋には前科があるって話だ――自殺未遂の」
「じっ――!?」
とっさに口を両手で塞いで、叫び声をなんとか抑えた。
自殺……未遂?
「3年前のクリスマスイブだよ」
英二くんがベッドの足元の方に腰かけながら教えてくれた。
「2階の窓から飛び降りたんだよ母さん。エアコンの室外機のワンクッションがあって、奇跡的に打撲だけで済んだけどね」
「お袋は、酔っぱらってふざけただけって言い訳してたけど……少なくとも、死んでも構わない、くらいは思ってただろうな」
「死……なんでそんな」
こんなに綺麗な美魔女で、イケメンの息子が2人もいて……なんで?
息を飲むわたしの隣で、沈んだ声音がささやいた。
「この人は、ずっと考えてたんだと思う、死ぬことを。親父が亡くなった、あのクリスマスイブからずっと」