イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!
ぶっきらぼうな声が聞こえて、ビクッとフリーズするわたしたち。
「おれ、もう腹減って死にそうなの。後でいくらでもイチャついてくれていいからさ。とりあえずどっか、食いにいかない?」
振り返ると、不貞腐れた顔の英二くんがコートのポケットに手を突っ込んでこっちを睨んでる。
うわ、存在をすっかり忘れてた!
「おい英二、気が利かない奴だな」
「ちょっと坂田くん! ダメだってば!」
一気に現実に戻って涙を拭き、腕の中から逃れようとして――その時やっと、あることに気づき、「え、嘘っ!」って声を上げていた。
「タトゥーが復活してる!」
コートの下、カットソーの襟から見える白い鎖骨に、確かに髑髏の一部が覗いてるんだもん。
びっくりしちゃった。
「あぁ、今日は収録からここ、直行したから」
「しゅーろく?」
首を傾げるわたしに、英二くんは少し照れ臭そうにぽりぽりと頭をかく。
「一応、これでも声優、なんだよね」
「ええっ声優っ!? そうなの!?」