イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!

声優って、アニメの声とか洋画の吹き替えとか、ああいう仕事よね?
うわ、すごいっ! 楽しそう!

興奮するわたしに、「喜ぶのは早い」と坂田くんが突っ込む。
「まだまだ、ほんの『卵』だ。イクラサイズの」

「うるさいな。今に見てろよ。そのうち日本中に“藤波斗真”の名前を広めてやるからなっ!」

ムッとしながら英二くんは叫んでるけど……ん? ふじなみとうま?
「誰、それ?」

「こいつの芸名。坂田英二じゃ、地味すぎて嫌なんだとさ」

「へええ、芸名!」
なんか、本格的だな!

確かに、印象的な声だなと思ったんだよね。

この綺麗な顔が表に出ないのは、非常に残念な気もするけど……
俳優さんだったら、見惚れちゃってドラマの内容どころじゃないかもしれないから、ちょうどいいのかも?

なんでも、今回の役はヤクザの若頭。
ところが先輩から『上品すぎる』と言われて悩み、役作りのために、普段からそれっぽく装っていたのだと聞かされて、大いに納得だ。

確かにヤクザよりホストって雰囲気……とつぶやきそうになったけど、口にチャックしておく。
頑張ってるんだもん、水を差さないでおこう。

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