イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!
「なにはともあれ、よかったぁ。本物のヤンキーとかじゃなくて」
「なんだそれ、ヤンキー? 英二が、とかあり得ないだろ」
坂田くんに笑い飛ばされてしまい、「疑ってたのは坂田くんのことだよ!」と、日向さんから聞いた居酒屋でのエピソードを話した。
「あぁ美弥子さん、そいつたぶん、ボクシングかじってたんだと思うよ」
「ボクシング?」
横から教えてくれた英二くんは、首を傾げるわたしを見て、「あれ、知らないの?」と目を見開いた。
「兄貴、ボクシングのジュニアチャンピオンだったんだよ?」
え??
「……は、ぁああっ!?」
ジュニア……チャンピオン!?
し、知らないんですけど、そんな話っ!
あんぐり口を開けるわたしに、「親父の趣味につきあってただけ。止めてもう随分経つしな」と本人は涼しい顔。
「それにしては、昨夜の右ストレート、すごかったけど?」
「あれは夢中で……って、もういいだろ、オレの話はっ!」
グイって、腕を引かれて歩き出す。
なんか……照れてる?