イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!
「ねえねえ美弥子さん、兄貴ねー、地元のジムで大人相手にバンバンKO勝ちするくらい強くてさ。不良高校生におれがいじめられてた時も、あっという間にノックアウトしちゃって」
「へえ、すごい!」
「それ以来兄貴が街を歩くと、強面の不良どもがこう、ザザーッて兄貴を避けて――」
「英二! ちょっと黙っとけ。美弥子が怖がるだろ。奢ってやらねえぞ!」
「わかってないなぁ兄貴、女性は自分を守ってくれる強い男が好きなんだよ。せっかくおれが兄貴の株をあげてやろうとしてるのに」
「え、そうなのか? 美弥子、強い男の方が好き?」
真面目に聞いてくるから、笑っちゃった。
「さぁどうだろ。わたしが好きなのは坂田くんだから、強くても弱くても、どっちでもいいよ?」
気安い打ち解けた雰囲気に乗せられ、何気なくこぼしてしまって……ハッと我に返った時には、真っ赤な顔の坂田くんが視線をうろつかせていた。
やだっ、なんでこんなとこでサラッと告白してんの、わたし!
「み、美弥子……そういうことは、その、二人きりの時の方が……」
「ああああの、うん、ごめんね。えっと……」
「いや、嬉しいんだけど……その、ここじゃ何も、できないし……」
「だぁかぁらぁ! そこのバカップル! とりあえず飯! まずは飯!」