イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!
なんか最近、前にも増して立ち居振る舞いが落ち着いて、貫禄が出てきたって言うか。
彼が纏う大人の色気が半端なくて。
きっと会場内では、今この瞬間もいろんな女性が彼にまとわりついてるんだろう。
それを目の当たりにするかと思うと、足が向かないんだよね。
「遅れて来る人だっているし、わたし残ってるから。光莉ちゃん、中に入ってよ」
「何を言ってるんですか、あたしが残りますって!」
「えぇ? 別にわたしで大丈夫だよ?」
なんて押し問答をしていたら。
「じゃあお姫様は僕らがお連れしようか」
ふいに背後から声がした。
「宇佐美さん、日向さん! お疲れ様です」
「お疲れ」
近づいてきたのは、坂田くんに負けず劣らずのイケメンな2人。
日向さんも、今日はカジュアルスタイルを封印。ブラウン系のスリーピーススーツで決めて、周囲の注目を集めまくってる。
「あんたの仕事だろ、総務課サン。中の案内、してくれよ」
薄茶色の瞳に揶揄うように見つめられて、いえいえ、と手を振る。
「中には中の担当が、ですね」
「ほらほら行くよ、お姫様」
「いえ、でも――」
宇佐美さんと日向さんに両側から腕を掴まれてしまい。
「はいはーい、中村がお供いたしまーす。はい、いってらっしゃーい!」
光莉ちゃんに背中を押され……わたしは強制的に会場内へと連れ込まれてしまった。