イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!

【では坂田くん、一言挨拶を】

促され演台のマイクに向かう彼は、とても凛々しくてカッコよかった。
照明のせいだけじゃなく、ほんとに輝いている。


【ご紹介にあずかりました、東京本社営業部・坂田慎太郎です】

会場中に大好きな声が朗々と響いて、思わずうっとりしちゃった。

【本日は、このような素晴らしい賞をいただき、身の引き締まる思いです。これもひとえに、銀座のクラブに通い詰めたおかげ――ではなく、ここにいらっしゃる皆さまのおかげです。厚くお礼申し上げます】

どっと会場が笑いと拍手に沸く。

【本来なら、ここに至るまでの幾多の苦労と困難、手に汗握る情熱大陸的エピソードなどをご披露したいところではありますが、――私の場合特にございませんので、どうかご容赦ください】

再びどっと爆笑。

こんな場面でジョークとか、わたしなら絶対無理だ。
すごいなぁって、食い入るように見つめてしまう。

もちろん見惚れてるのはわたしだけじゃない。
熱い視線を向ける女性の姿がここからでも何人か確認できて……彼の成功は嬉しいけど、なんとなく複雑だ。

これからも、社内外のいろんな女性を虜にしちゃうんだろうな。
あんなに素敵なんだもん、当然だよね。

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