イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!
「そのぅさっき、入社1年目にして本気で恋愛したい相手に会ったって言ったじゃない? それって……」
「お前以外の誰がいるんだよ」
憮然と言われ、こくこくと首を縦にする。
「うん、それはわかったんだけど。わたしたち、全然接点なかったよね? 1年目なんて」
彼は同期の間でも抜きんでた存在で、しかも飛鳥のライバルっていう位置づけだったから、わたしの方は最初から知ってたけど。
こっちは地味な平凡女子だよ?
そんな風に目を留めてもらえるほどの何かがあったとは思えないんだけど……
と、顔だけ後ろに向けつつ尋ねると、ふっと彼の口角が上がるのが見えた。
「1年目の同期会で、酔っぱらったオレのこと、心配してくれただろ?」
酔っぱらった……って……あ、あれか。
坂田くんがお酒に弱いって知った、あの時。
――実はさ、あんま酒、得意じゃないんだ。
――そうなの? 全然わからなかった。
「あの時、お前言ってくれたよな。そのままのオレでいいって」
「え……言ったっけ……」
急いで記憶を探って――そして思い出した。
あの時の会話、その一部始終を。