イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!
――いつもは周りに飲ませて、誤魔化してるだけ。お店の子に頼んで、薄めにしてもらったり。あ、これはここだけの秘密な? オレと中村だけの。
――わ、わかった。
――情けねえな。もっと頑張って、飲めるようにならないと。接待も増えるし。酒に飲まれる営業マンなんて、シャレになんねえ。
――で、でも……坂田くん、今だって十分頑張ってるじゃない? 1年目なのにもうみんなが一目置くくらいの成績上げてるし、それってすごいことだよ。そんなに急がなくても、そのままの坂田くんでいいと思うな。
「あの頃さ、必死になりすぎて空回りすることも多くて、壁にぶち当たってたんだ。そんな時、お前の言葉で我に返ったっていうか……、一瞬立ち止まることができてさ。オレの“見てくれ”だけで寄ってくる女にうんざりしてた時だったし、妙に記憶に残ったんだ」
その後、わたしの姿を喫煙所から探すようになったと聞かされ、まるきり気づいてなかった自分が情けないやら恥ずかしいやら……。
「少しでも距離縮めたかったけど、いきなり1対1で話しかけたら警戒されると思って、真杉が一緒の時を狙って声かけて。でも全然スルー。真杉の方に先にバレるんだもんな。『美弥子、気づいてないよ』って言われて、結構ヘコんだ」
「ええっ?」
た、確かに社食で飛鳥と一緒にランチした時は、大抵彼が現れたけど……
「飛鳥に話しかけてたんじゃなかったの!? 同期で同僚で、仲いいんだなって……」