イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!
4. 婚活!

……来ないな、何も。

口の中でつぶやいて、何度となく確認したポケットの中の携帯を、もう一度スカートの上から押さえた。

「ねえ先輩、反社って、最近厳しいじゃないですか」
「うん……」

光莉ちゃんに生返事を返して、
廊下の専用ボードにポスター(“反社会的勢力を断固拒否しよう!”と大書きされたやつだ)をぺたぺた貼り付ける作業を繰り返す。

――例の件、坂田に伝えたよ。

飛鳥から連絡があったのは、昨日のお昼。

――わかった、って言ってたけど、直接話したいことがあるみたい。だから連絡先教えちゃったけど、よかった?

話したいことって……なんだろう?

「肩に小さく、お揃いのタトゥー入れたいって彼がいうんですけど、止めといた方がいいですか?」

気になってたまらないのに、未だに電話もラインもない。
今日も、もう定時になっちゃうのに……どうしたんだろう。
どうでもよくなっちゃったのかな?

「もうっ美弥子先輩ってば! 聞いてます?」

「え?」
ハッと振り返ると、むぅっと膨れた光莉ちゃんが手を腰に当て、こっちを睨んでる。

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