イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!

「お、お疲れ様です」

どう反応したらいいかわからなくて。
ポスターをぐしゃりと握り締めながら、身体を固くした。
けど――

「……お疲れ」

彼はそっけなく口にすると、足早に過ぎて行ってしまう。
こっちを(ギロっと)まともに見たのは、西谷さんだけ。

「うっわ、西谷菜々美、見ました? 無言ですよ、無言スルー。相変わらずお高く止まっちゃって。イヤなヤツ」

あはは、って小さな声で相槌を打ち、遠ざかっていく背中を見送る。

坂田くん、全然こっち、見なかった。
やっぱり……もう興味なくなっちゃったのかな。

「それにしても、新条課長ってほんとオーラあるぅ! 来年には最年少で部長昇格って噂、ほんとですかね」

「さぁ、どうかなぁ」

まぁ、いっか。所詮、住む世界が違う人だもんね。

坂田くんとわたしが、とか。
そんな、想像するだけで恐れ多いっていうか、身の程知らずっていうか。
ありえないもの。

この先彼が関わってこないなら、むしろそれが普通の状態なんだから。
わたしはわたしで、婚活に邁進せねば!

「さ、光莉ちゃん、残業したくないでしょ。ピッチ上げて、これ全部貼っちゃお!」

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