イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!
会社から徒歩10分程度。
新宿駅にも近いガラス張りのモダンな商業ビルに、目指す場所があった。
民間のクッキングスクールを、定期的にうちの会社が借りてるってことだけど……
なんとなく学校の調理室を想像していたわたしは、一目見るなり、わぁって歓声あげちゃった。
想像してたより、ずっとおしゃれで広い!
濃い木目のエキゾチックな家具や観葉植物が配置されてて。
調理台が並んでなければ、南国風のレストランみたい。
壁に沿って設置された棚には、大小いろんなサイズのお皿、ボウルや小鉢といった調理器具が並んでるんだけど。
これもインテリアの一部じゃないか、ってくらい室内にマッチしてる。
指定された調理台には、すでに食材や調味料などが用意されていて、準備は万端、といった感じだし。
なんだかテンション上がるなぁ。
いい出会いがありそうな気がするぞ、なんてね。
わくわくしながら愛用のエプロンを広げ、ネームプレートをつけていると。
ぽつりぽつりと人が集まりだした。
秘書課の2人はわかるけど……
よしよし、直接の知り合いはいないみたいだ。
ただ――……あれ?
わたしのペアの人、遅くない?
残業で遅れるのかな?
他の調理台では続々とペアができ、和やかに名乗り合う声が聞こえてきて、次第に居心地の悪さが募っていく。