イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!
そうこうするうちに……
30代前半くらいかな? 女性講師がやってきて「こんばんは」と挨拶、自己紹介を始めてしまった。
「さぁ、今日は秋の味覚をたっぷり取り入れたお料理を作っていただきますよ。献立は、根菜入りつくね、秋野菜の焼き浸し、舞茸の炊き込みご飯、さつまいものポタージュスープですが……」
いやいや、先生、まだ1人来てませんよね?
いいの? もう始めるの?
ちょっと待って、まさかの、ドタキャン?
わたしの相手だけ? わたし、一人?
嘘でしょーっ、せっかくキャンセル待ちまでして参加したのに!
想定外の展開に、テンションは急降下だ。
なんでこうなるかなぁ……
いい出会いあるかも、なんて浮かれまくってた自分が恥ずかしい。
がっくりうなだれ、エプロンの端を握り締めた――時。
かすかにバタバタと慌ただしく近づいてくる、足音がした。
そして、唐突に。
ガチャっ! とドアが大きく開く。
「すみません、遅くなりました」
「……っ!?」