イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!
図星を指されて、一気に顔が熱くなる。
「み! み、見惚れてなんかっ……」
恥ずかしさを紛らわせるように。
ガチャガチャ、わざと音を立ててお皿を取り出した。
「料理ができるなんて、意外だなと思っただけ! 冷蔵庫の中缶ビールばっかりとか、そんな生活してそうだから」
やけっぱちみたいに返したら、ぶっ……て勢いよく彼が吹き出す。
「中村といると、ほんと飽きないな」
緩く弧を描く瞳は、見たことない程柔らかな雰囲気で――
……あれ?
なぜかきゅっと、胸の奥が疼いたような気がして、胸に手を当てる。
なんか、今……きゅんとした?
「ん? どうした?」
「う、ううんっなんでもないっ!」
ないない、ないよ。
“きゅん”とか、絶対ない。錯覚!
忘れろ、忘れるんだ、わたし!
お経のように唱えながら、
「こっち、もう盛り付けるねっ」
彼からさりげなく、距離を取った。