イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!

無事に作り終わった後は、併設のカフェスペースに場所を移して試食会がスタート。最初のペアに関係なく、自由席で……となれば、女子たちのお目当てはおのずと限定されるよね。

案の定、わたしを除く全女子が坂田くんのテーブルに椅子を運び、彼を取り囲んでる。

「お仕事忙しいのに、お料理もできるなんて、素敵ですねー」
「私の得意料理、ロールキャベツなんです。今度一緒に作りません?」
「私はどっちかっていうと、食べる方が好きなんです。だから料理上手の男性っていいなってー」

押し出された形のわたしは、むしろせいせいした気持ちだ。
おかげで、逆ハーレム状態だもんね。

「夜は自炊しますよ。節約したいので」
「俺は弁当も自分で作ってて」
「ほんとですか? 素敵ですね」

男性の参加者全員と名刺交換を済ませ、料理も含めた趣味、仕事の内容とか、話も結構盛り上がって。
ウハウハで喜んだっていいはずなのに……

どうしてだろう。
坂田くんの声ばかり、耳が拾ってしまうのは。

「やっぱり平日は接待で外食も多いので、その反動って言うか、休日は割と自分で作りますよ」
「へええ、そうなんだぁ! すごーい」

何よ、ヘラヘラ笑っちゃって。
さすがですこと。

「へぇ、あそこの所長とは知り合いなんですよ。ワイン好きで有名な方ですよね?」

あぁもう! 気が散る!
なんでわたし……こんなにイライラしてるんだろう?

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