イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!

絶対嫌がらせだっ!
ビンタのリベンジだよね!?

慌てふためいてもがくんだけど、彼の腕は一向に緩まない。
そして、頭をポンポンてされて。

「ほらほら、暴れない。ま、そういうトコも可愛いけど」

かかか、可愛い?
何言ってんのよーっ! バカバカぁっ!!


――ちぇっなんだよ、男いるんなら参加するなっつーの。
――なんだよ、あれ。完璧ラブラブじゃん。
――えーショックー。彼女いたんだー。

ち、違うの!
違うからっ!

訂正しようと開きかけた口は、大きな手で覆われてしまう。
「むぐっっ……ぐ」

「じゃあ、オレたちはここでお先に。お疲れさま」

ニコヤカな営業スマイルの裏に見え隠れする、ブラックオーラ。
妙にウキウキした口調が、逆にコワイ。

みんな、騙されないでーーっ!

心の叫びは声になることもなく。
抵抗むなしく、ズルズル引きずられていくわたし。

あぁお願い……誰か夢だと言って……

< 79 / 539 >

この作品をシェア

pagetop