イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!
絶対嫌がらせだっ!
ビンタのリベンジだよね!?
慌てふためいてもがくんだけど、彼の腕は一向に緩まない。
そして、頭をポンポンてされて。
「ほらほら、暴れない。ま、そういうトコも可愛いけど」
かかか、可愛い?
何言ってんのよーっ! バカバカぁっ!!
――ちぇっなんだよ、男いるんなら参加するなっつーの。
――なんだよ、あれ。完璧ラブラブじゃん。
――えーショックー。彼女いたんだー。
ち、違うの!
違うからっ!
訂正しようと開きかけた口は、大きな手で覆われてしまう。
「むぐっっ……ぐ」
「じゃあ、オレたちはここでお先に。お疲れさま」
ニコヤカな営業スマイルの裏に見え隠れする、ブラックオーラ。
妙にウキウキした口調が、逆にコワイ。
みんな、騙されないでーーっ!
心の叫びは声になることもなく。
抵抗むなしく、ズルズル引きずられていくわたし。
あぁお願い……誰か夢だと言って……