イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!
お節介かなとも思ったけど、考え始めたら放っておけなくなって。
トイレを出るなり、親友の真杉飛鳥に連絡を取ったのだ。
同期の一人でもある彼女は、坂田くんとは常に成績上位を競い合う営業部のよきライバル。わたしよりずっと気軽に話せる仲だし、きっと相談に乗ってくれると期待してたのに――
『はぁ、最近の若い子って大胆なのねー』
おばあちゃんの茶飲み話みたいなのんびり口調で言うんだもん、がくっと肩が落ちちゃった。
「ちょっと飛鳥っ、ちゃんと真面目に考えて! もし本当に妊娠しちゃったらどうするのよ? 生まれてくる子どもの身にもなってよ!」
苛立つわたしをなだめるように、『美弥子は優しいなぁ』って笑い交じりの声がする。
『心配しなくても大丈夫よ。他の奴ならともかく、坂田でしょ。たかだか女子一人にどうこうされたりしないって』
冷静に返されて、ぐ、と言葉に詰まっちゃった。
「そ……そうかなぁ」
飛鳥が言わんとするところは、理解できるよ?
坂田くんは、『本気の恋愛はしない』って公言してる、社内でも有名な女ったらしだから。
それほど遊び慣れてる彼が、女の子の罠にはまっちゃうなんてありえないよね、ってことだ。