イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!
ようやく解放されたのは、近所のコインパーキング。
車で来てる、というのは本当だったみたい。
「ほら、こっち」
「ど、どこに連れてく気? 人さらいって叫ぶよ!?」
ポケットからキーを取り出した坂田くんは、足を止めないまま苦笑した顔だけわたしへ向けた。
「人さらいっていつの時代だよ。せめて誘拐と言え」
「どっちもヤバいことに変わりないでしょ!?」
「ったく、どこまで信用ねえんだよ。何もしないって。家まで送るだけだ」
ほんとに?
彼の背中を疑いの目で追っていたら、ピピっと音。
開錠されたのは――ミッドナイトブルーの、コンパクトカー?
……意外なことに、国産車だった。
しかも低燃費で話題の大衆車。
「……これ、坂田くんの?」
「あぁそうだけど?」
……ふーん、ビーエムじゃないんだ。
なんていうか、拍子抜けって言うか。
西谷さんたちの予想(希望)が外れたことを知って、ちょっといい気味、なんて思っちゃったことは否定できない。
「どうぞ」
手慣れた様子で助手席のドアを開けてくれる坂田くんへ視線を走らせて。
「……」
すばやく状況を分析する。
2人きりになるのは、好ましくない。
ただ、このままだと、これからの婚活も邪魔されそうな気配が……
ここはビシッと言っておくべきかも。
結論を出したわたしは、不承不承に乗り込んだ。