イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!

「ト、トライアル……?」

虚を突かれてぽかんとするわたしを、「そうだ」と、強い眼差しが捕らえる。

「試しにしばらく、つきあってみるんだよ。プラトニックでいいから。その間に美弥子がオレに落ちれば抱くし、関係も継続する。少しも気持ちが変わらなければ、きっぱり別れる。つまりオレは、お前を諦める」

「な……っ」

「期間は……そうだな、3か月ってとこか」

「さ、さんっ? そんなに!?」

「じゃあどれくらいならいいんだ?」

え? ええと、それは……
と真面目に考えてしまってから、「いやいや、そうじゃなくて!」
と首を横にする。
危ない危ない、流されそうになってしまった。

「なんでわたしが、そんなバカげたゲームにつき合わなきゃいけないの?」

「ゲームじゃねえし。だって軽いつきあいは嫌なんだろ?」

「そうよ、だからっ――」
「だけどな、軽いも重いも、まずはお互いを知らなきゃ何も始まらない。だからもっとお前を知りたいし、オレを知ってほしいって言ってる。何もおかしなこと言ってねえよな?」

「う、ん……?」

何か言い返したいのに、正論であることは間違いないような気がする。

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