イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!

「男の経験、ないだろお前」

「は!? な、なんでそんなことっ……全然ない、わけじゃ……」

少ないだけで……

もごもご言い訳をつぶやきながら、顔が赤らむのがわかった。
どうして気づかれたんだろう?
やっぱり百戦錬磨のプレイボーイから見たら、バレバレなのかな?

「あの程度のキスで動揺してたら、すぐわかる」

そ、そうですか……

「あれじゃあ、婚活したってろくな男にひっかからないだろうな」

訳知り顔を苦々しく睨みながらも、反論できずにぐ、と口を歪めた。
実際それは、わたしが密かに心配してたことだったから。

最後に彼氏と呼べる人がいたのは大学時代。
キスが精いっぱいの、お子様の恋愛だった。

将来を意識したおつきあいなんて、もちろんしたことない。

結婚したいと真剣に考えてはいるけど、婚活詐欺やデートDV……etc.もろもろ恋愛に関する犯罪報道を見るたび、不安にならないでもない。
ダメンズを引いちゃったら、と思うと……

「だから、オレで経験値あげとけってこと。急げば回れっていうだろ?」

坂田くんで、経験値をあげる?

「……っ、そんな」

< 91 / 539 >

この作品をシェア

pagetop