イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!
「男の経験、ないだろお前」
「は!? な、なんでそんなことっ……全然ない、わけじゃ……」
少ないだけで……
もごもご言い訳をつぶやきながら、顔が赤らむのがわかった。
どうして気づかれたんだろう?
やっぱり百戦錬磨のプレイボーイから見たら、バレバレなのかな?
「あの程度のキスで動揺してたら、すぐわかる」
そ、そうですか……
「あれじゃあ、婚活したってろくな男にひっかからないだろうな」
訳知り顔を苦々しく睨みながらも、反論できずにぐ、と口を歪めた。
実際それは、わたしが密かに心配してたことだったから。
最後に彼氏と呼べる人がいたのは大学時代。
キスが精いっぱいの、お子様の恋愛だった。
将来を意識したおつきあいなんて、もちろんしたことない。
結婚したいと真剣に考えてはいるけど、婚活詐欺やデートDV……etc.もろもろ恋愛に関する犯罪報道を見るたび、不安にならないでもない。
ダメンズを引いちゃったら、と思うと……
「だから、オレで経験値あげとけってこと。急げば回れっていうだろ?」
坂田くんで、経験値をあげる?
「……っ、そんな」