イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!
利用するみたいじゃない、と戸惑いながら……けれど頭のどこかで冷静に、その提案を検討し始める自分がいた。
確かに、彼の方がわたしよりずっと、男女関係に詳しいことは間違いない。
難攻不落の企業を落として、新しい契約をいくつももぎ取ってきた、飛鳥曰く“人たらし”だし……。
傍にいたら、もしかしたら学ぶことがある、かもしれない。
気持ちに余裕ができれば、落ち着いて相手を選べる、かもしれない。
ようは、わたしが彼を好きにならなければいいのよね?
そうすれば、トライアル期間後はただの同期に戻れるってこと。
けど……彼は社内のアイドルだよ?
将来を約束されたエリートだよ?
そんな人の恋人が、わたしなんかでいいの?
ごちゃごちゃ絡まった思考のまま、なんとなく返事を迷っていると。
「答えがないなら、3か月で決定するぞ?」
催促され、「え、ちょっ……だから、それは長すぎ!」って叫んじゃった。
「じゃあ何か月にする?」
ごく自然に返され、「い、1カ月くらい?」と流れで答えてしまった自分、ほんとにチョロい、と思われただろう。
「折衷案で、2カ月ってとこか。妥当だな、決定」