イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!

ちょっと、いやかなり、後悔してる。あんな約束しちゃったこと。
だって、考えれば考えるほど、うまく彼に言いくるめられたって気がするんだもの。

さすが営業部のエース、っていうか。
彼のプレゼンは百発百中だって飛鳥が褒めてたけど、なんだかものすごーく納得だ。

所詮、口先で叶う相手じゃなかったんだよね。
今更気づいても遅いけど。


「……へえ、抱きたい発言、からのトライアル恋人かぁ」
「そうくるとは思いませんでしたねぇ」

聞き終わった2人は、ただもうあっけにとられてる。
まぁそうなるよね。

「話を聞いてると、なんだか“執着”みたいなものを感じるわね。ただのお試し、っていうよりは」
「しゅっ……執着?」

「あーわかります! そんな感じしますよね。料理教室まで乗り込んできて、婚活阻止しちゃうとこなんて、特に!」

う、と言葉に詰まった。

実は……昨夜、チラッと同じようなことを考えたから。
執着、は大げさだけど、なんでわたし? なんでそこまで? って。

女なんてより取り見取り、の彼だよ?

こっちは抱きたい、なんて望まれるほどのナイスバディでもないし。
同期っていう以外に接点はない、ごくごく平凡女子なわけで――

「……もしかしたら何か、裏があるのかも?」

考え考え言うと、「「裏ぁ?」」って2人がハモった。

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