イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!
「例えば、喫煙所のメンバーと賭けでもしてるとか。わたしが落ちるかどうかって」
人事のプリンスに、カリスマデザイナー……、あれだけ相手に不自由してなさそうなイケメンがそろってるんだもん。
目新しいゲームを始めてみたくなった、なんてこともあるかもしれないよね?
「確かにそういう設定、マンガや小説ではよくあるけど、この場合は違うんじゃないかしら」
渾身の仮説は、梓沙さんにあっさり否定された。
「どうしてですか?」
「だって彼、中村さんが婚活中って知ってるわけでしょう? ジョークで誘う相手には、向いてないと思うわ」
「でも、そういう真面目なカタイ女子を落とすっていうミッションだったら?」
「それにしても同じ会社の同期でしょ。拗れた時、コトが大きくなる可能性は大いにあるわ。恋愛上級者の彼が、そんなリスクを冒すかしら?」
「でも……」
「もう! どうしてそんなに難しく考えちゃうんですか? 美弥子先輩に恋してるって、シンプルに考えたらいいじゃないですか。照れてて、素直に“好き”って言えないだけですよ」
「あ、間違いないわ、それよ! カワイイとこあるじゃないっ!」
ノリノリで言われて、がくっと肩が落ちちゃった。
「思い出して、彼は“本気の恋愛はしない男”だよ?」
「そうかなぁ。だいたいそれ、随分前の話でしょ」
「きっと、ようやく本気になれる相手を見つけたってことなんですよ! いいじゃないですか、モテ期が来たって喜んどけば。イケメンエリートに溺愛されるなんて、羨ましすぎですよ?」