イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!
「できっ……溺愛?」
坂田くんが……わたしを?
ないない、ないでしょ。
絶対遊ばれてポイだってば!
「えっと、とにかく」
それでもなんとなくこっちの旗色の方が悪い気がして、話を終わらせようと語気を強めた。
「ああいう女にだらしない奴って、もともとわたしダメなんです。好きになるなんて絶対ありません。恋愛のハウツーだけ盗ませてもらって、さくっとお試し期間終了。速攻お別れしますから」
「うまくいくかしら」
「ですねぇー?」
生ぬるい視線を交わし合う2人を無視して、時間が惜しいとばかり、勢いよく食事を再開した。
そろそろ戻らないと、ランチタイムが終わっちゃう。
「とはいえ、2カ月はお付き合いするわけですよね、背景はどうあれ、恋人として」
小顔に似合わない大きな口を開け、同じく食べるスピードを上げた光莉ちゃんが聞いてくる。
パスタを頬張りながらこくりと頷くと。
「じゃあ西谷菜々美には気を付けた方がいいですよ。坂田さんのこと、本気だから」
そう言って、目線でわたしの後方を指した。
西谷さん? 営業アシスタントの?