SKY CROWN
小等部の時からそうだった。
私だって仲良くしたかった、バカみたいな点数とって友達と笑ってみたかった。

でも、私にはできないんだ。
小さい時からそうだった、私は話すより聞く方が楽しかった。というか、話すのが苦手だった。

それに加えて周りからの妙な噂があった。『親が厳しい人で、塾に行かせてる。』とか『周りとは違う』とか『本当は自分が頭良いことを自覚してて、周りをバカにしてる』とか。
別にお母さんもお父さんも厳しくないし、むしろ優しいくらい。塾になんて行ったことない。それに周りとは違うなんて思ってないし、ちょっと勉強が好きだったから得意になっただけで、周りをバカになんてしてない。

でも私はそれを噂をしてる人に言えなかった。
だから、クラスのことも全然仲良くなれないし、話せなかったんだ。

当然、クラスからは孤立していたし、昼休みにご飯を食べる子も当然いなかった。だから昼休みと放課後空いてる時間は全部ここにいた。

私は目の前にある古いドアをガラガラと音を立てて開けた。するとカウンターの中から「あら、いらっしゃい。」と笑顔で迎えてくれたのは、ここ、私立桜ヶ丘学園の旧校舎にある第4図書室の司書の山田ゆかり先生。
私はここの小等部の頃からここにほぼ毎日入り浸っている。
小等部には第1図書室。中等部には、第2図書室。高等部に第3図書室がある。ここは旧校舎の第4図書室。

旧校舎にはあんまりみんな来ないから、ほぼ私しか行かない。
ゆかり先生は少し目を細めて聞いてきた
「どうしたの?姫月ちゃん。」
先生の『どうしたの?』うわぁ、私に答えを聞いているんじゃなくて、いつも決まって聞いてくるセリフ。

「うん。」

と返事にもなっていない相づちを打って、ほぼ私の席になりつつあるキャスター付きの椅子に腰をかけた。

私が黙っていると先生が口を開いた。

「あ、そうそう。そういえば姫月ちゃんは、日向くんや、西谷くん達、分かる?」

「……。分かる。有名人だから。」

先生の言ってる『日向くんや、西谷くん達』っていうのは、うちの学園の高等部のイケメン4人組。

「うちの学園のイケメン天才ボーイ達でしょ。」

「そうそう!どんな子達がわかる?」

多分だけど、逆に知らない方がおかしい。
「いつも明るくてクラスメートにも人気者の日向くんに、いつも冷静でクールな西谷くん、穏やかで社会博士って呼ばれてる天宮くんに、スポーツ万能で大抵のスポーツはできるって噂の有田くん。でしょ?有名だよね。」

と、私が言い終わると同時に、大きな音とともにドアが開かれた。びっくりしてドアの方を見ると、そこには今の今まで話に上がっていた本人(いや、本人達って言った方が正しいのかな。)がいた。

多分日向くん?かな?
そのドアを開けた張本人は、ちょっと早歩きで私の前まで来て言った。

「城本すげえ!俺たちのこと知ってんの!」
大きな橙色の瞳をキラキラ輝かせて、私の方を見ていた。
綺麗な目……。なんて考えていると目の前にあった瞳がいきなり遠ざかった。

顔を少しあげると日向くんのパーカーのフードを引っ張っりながら、日向くんを睨んでいる男の子と、後から少し呆れた顔してる男の子と、綺麗な茶髪の前髪を右手で掻き上げてため息をついている男の子がいた。

えっと、確か。西谷くん?と、天宮くん、有田くん?かな?

呆然と日向くんたちの方を見ていると、ゆかり先生が口を開いた。
「日向くんたち。いらっしゃい。」

とゆかり先生が言うと西谷くん?が、

「すみません先生。うるさくなっちゃって。それと。」

びっくりした!だって、いきなり私の方も向くんだもんの。
綺麗な深い青色の瞳が、私に向けられていて、なんだか緊張する。

「城本さん。だよね?ごめんね、太陽が。こいつアホだから許してやって。あ、僕は西谷雪斗。」

と謝罪ついでで、ご親切に自己紹介までしてくれたけど、すみません。知ってます。

「あ、私……」

あっちが名乗ってくれたんだから、私も名乗らなきゃと思って、口を開こうとしたら、日向くんが身を乗り出して
「城本!俺!日向太陽!」
と言った。

元気だなぁと思っていると、後ろの2人も
「コラ、太陽。城本さん。でしょ?ごめんね、城本さん。俺は天宮雨希。」

「ったく。太陽〜?いいかげんにしとかないとしばくよ?ごめんな。俺、有田雷火。」

ご親切にどうも。でも、君たちのこと知らない人、この学園にいないと思うけどね。
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