水に溺れた君と夏
「水に触れればっ、その想いが溢れそうでっ、怖くて…ずっとずっと逃げてたっ!」

「…それは"逃げ"じゃないよ、伊月。」

逃げじゃ、ない?
違うんだよっ!ほんとにっ。私が弱かっただけなんだ。

「ち、がうっ!」

「違わない。だってその想いが溢れれば、伊月の弟や助けた女の子まで否定しそうで怖かったんだろ?」

「っ!…ふぇっ!…ぅっ!」

「よく、頑張ってきたな。
えらいよ、伊月。」

そういって私の頭を優しく撫でてくれる陽都。
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