水に溺れた君と夏
いちのいち
綺麗に咲いていた桜の花が
新緑へと移り変わり、それを合図に
だんだんと暑くなってくる6月。
ピピィーー!
ホイッスルの音と共に水の跳ねる音がする。
太陽が肌を照りつけてすっと目を細める。
照りつけられてるはずなのに、
今日もまた皆と肌の色が遠ざかる。
「いづー!お昼食べよっ!」
ぼーっしていれば体育は終わりお昼の時間が来たようだ。
笑顔でかけよってきた彼女は安藤瑠璃《あんどう るり》
1年の時に仲良くなって今では親友だ。
「そうだね」
彼女にそう返し、中庭へ移動する。
「ねぇねぇ!今日のバスケ、郁弥が凄かったんだって!!いいなー、私も見たかった。」
「はいはい。上田君との惚気はお腹いっぱいだから結構だよ」
上田郁弥《うえだ いくや》君は
瑠璃の彼氏だ。1年の秋に付き合ってもう半年以上たつのに惚気話が止まることはない。
本当に仲良しなカップルだ。
「だって少しでも見てたいんだもん!」
そういう瑠璃は女の子ですごく可愛い。
「瑠璃、楽しそうに水泳してたじゃん。
それに今年は上田君とも同じクラスだし、いっぱい喋れると思うよ。」
「そうだよね!明日の体育はバスケだから、男子は水泳だよね。いづ、見に行こう!!」
「私はいいよ。外暑いし。」
そうやって話してたら昼は終わり、
涼しい教室に入って授業を受けて帰った。
家に帰って布団にダイブする。
あぁ、水に触れたい。
そう思いながら眠りについた。