水に溺れた君と夏
7月に入った頃、
吉良君の元気がだんだんとなくなっていた。

それには皆気付いてた。

だから気を利かせた上田君が
「そろそろテストだよね。皆で勉強しない?」

と提案してくれた。

「いいね!しよしよ!多分今日テスト範囲配られるよね。」

「うん、明日土曜日だし、どうかな?」

「私は大丈夫。」

「私もー!」

「陽都は?」

「…あぁ、大丈夫。」

やっぱり元気がないなぁなんて思う。
いつも元気なイメージの吉良君がここまでとは。

何があったんだろう。いや、わかってる。
─水泳のことだって。─

きっと彼の心を揺さぶるものは
水泳しかないのだから。

他人事のように考える。
いや、そうしなきゃ私まで苦しくなりそうだったから。

「それじゃ、明日俺の家ね。伊月ちゃんは瑠璃と来て。」

「「了解。」」

「ふふっ!いづ、明日9時30分にいづん家行くからね!」

「…わかった。」
< 20 / 108 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop