水に溺れた君と夏
「どうしたの!?」
瑠璃も慌てたように聞く。
「陽都がっ」
吉良君?
今日は学校来てないけど…まさか。
「吉良君が、どうしたの?」
「陽都が昨日、部活で無理して捻挫したって!本人は軽い捻挫だって言ってるけど、あいつ、誰よりも水泳が好きだから…。」
─いわゆる、スランプなんだ。─
あぁ、分かってたのに。
スランプで焦って、ケガをしてしまう可能性が少なくないことなんて、知ってるのに。
「陽都の声がすごく落ちてたから、いてもたってもいられなくて。俺、なんにも出来ないのは嫌なんだよっ!」
分かるよ。
梓月がそうなったとき、何も出来ない自分に苛立ったときもあった。
未練たらたらだけど、
─梓月には水泳を続けてほしくて─