水に溺れた君と夏
「はい。」

吉良君本人の声。
嫌でも伝わるほどの暗い声。

軽い捻挫なら早ければ1ヶ月、遅くても2ヶ月で完治する人がほとんどだ。

でも大会まであと1ヶ月と二週間ちょっと。

完治させて終わりではない。
長い間出来なかったものを1ヶ月足らずで取り戻し、また上へ行かなければならない。

そう簡単なことではない。
難しいだろう。でもそれは、彼次第でもあるから。

「宮川です。」

「宮川?ちょっと待ってて。」

少しの時間だけど、緊張する。

彼はもしかしたら、今は誰にも会いたくないかもしれない。

それでも、頼まれたからには
いや、自分で決めたらにはやらなければならない。
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