水に溺れた君と夏
「俺は…」

「うん。」

「ずっと、ずっと楽しくて。
凛達と競って笑って。水がおいでって言ってくれるから吸い込まれるように泳いでた。それが気持ちよくて、泳いでた。」

「…うん。今は、楽しくないの?」

きっと、ずっと楽しかったものが崩れてきてた。それに拍車がかかってしまっただけなんだと思う。

「…俺の親さ、母さんは病気で亡くなって、父さんは弁護士でなかなか家に帰ってこない。」

「うん。」

「この前、父さんに"水泳をやるのはいいが、勉強もしなさい。スポーツなんて将来保証のないものをやる必要はない。たかが部活だ。"って」
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