水に溺れた君と夏
「…母さんが生きてるときは父さんも水泳で賞をとったりすると喜んで褒めてくれた。いつからか、それもなくなったけど…。」

もしかして、お母さんって…

「…吉良君のお母さん、なんの仕事してたの?」

「なんのって…ピアニストだけど」

あぁ、やっぱり。
保証の無い仕事を、吉良君のお父さんが怖がるのは
─保証の無い仕事ほど、無理をするから─
それをきっと知ってるんだ。

それが病気に繋がったんだろう。

憶測にしかすぎないし、分からないけど。
きっと何かしらのことがある。
だってちゃんと応援してくれてたんだから。

「そっか。」
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