水に溺れた君と夏
「ねぇ吉良君。今なら間に合うよ。
─水泳、したい?─」

別に水泳で賞を取らなくたっていい。
せめる人は誰もいない。
楽しめれば、いい。
賞をとれなかったときは、それもまた原動力になるから。

「もう一度、泳ぎたい。
…やっぱり大好きだし、やめられねぇんだよ。」

「─なにより、楽しいんだ。─」

その心があれば大丈夫だよ。
人は楽しくてやってたことも
いつか上をいけばいくほどやってた意味を忘れていく。
"楽しい"気持ちを忘れて、焦っていく。

「そう思えるなら、大丈夫だよ。」

「─私が、泳げるようにしてあげる。─」

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