水に溺れた君と夏
「え?」

大丈夫。やって見せるから。

「明日、吉良君の家行って大丈夫?」

「大丈夫、だけど…。」

「んじゃ、学校終わったら行くね。
今日は帰るね。だから
─楽しい気持ちを忘れないで─」

「っ!ありがと、な。"伊月"。」

…今、名前で。
あぁ、嬉しいね。役に立てるって。

「んーん、じゃあね、"陽都"」

送ってくれようとしたけど
足痛めてるのにあまり歩いてほしくないしね。

とりあえず帰ったら梓月のときのやつ、残ってるか探さないとな。

スランプに陥って、梓月がケガをしたときのノート。

前に進めてる。今はそう思える。

私は無意識のうちに、胸元で光るネックレスを握りしめていた。
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