水に溺れた君と夏
ヴーヴー

誰から?梓月!?珍しいなぁ。

「もしもし?」

「もしもし。珍しいね。」

「んー、ちょっと切羽詰まっててさ。
伊月の声、聞きたくて。」

「余計に珍しいね。」

梓月からかけてくることが珍しすぎて
かかってきたときは何かあったのかと不安になる。

「…ねぇ、伊月。今でもつけてるの?」

何が、なんて聞かなくてもわかる。
あの時、約束したときのネックレス。
─宮川双子が、大事にしてるもの─

「当たり前でしょ。
梓月を信じてるから、連れてってよね。
それと、これは他の何にも変えられない大事なものだから─」

何があったのかはわからないけど
きっと梓月は不安だった。双子だからね。
少なからず分かるよ。

「そっか。俺も、ずっと持ってるよ。
泳いでるときは流石につけれないけどね」

笑いながらそういう梓月。

「ふふっ。そうだね。」

「ん、ありがとう。それじゃ、またね。」

「ん、無理せずにね。頑張れ。」

梓月と話すとやっぱり落ち着くよ。
今だって話しただけで、
心がこんなに暖かい。
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