水に溺れた君と夏
「おう。それでもいい。
大会前日の、4時30分に、絶対来いよ。」

4時30分─
それは、初めて君の泳ぎを見たとき。
目を奪われたとき。

息をのむほど綺麗で、鳥肌がたったんだ。

「ん、わかった。」

そう返事をするも、行くかは迷っている自分がいる。

迷いを顔に出さないよう、笑った。

「ずっと、待ってるから。」

告白の返事を待つかのような台詞を
太陽のように笑って言うから。

すごく胸が締め付けられた。
そして、その笑顔に胸の音が跳ねたのはここだけの秘密。
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