水に溺れた君と夏
しばらくの沈黙が続いたけど、
それに気まずい空気は無かった。

「…なぁ。」

「ん、どうした?」

「─頑張れ─って言ってほしい。」

真面目な様子に私は目を見開いた。

「なんだ、そんなこと?」

「そんなことって…。」

少し拗ねたように口を尖らせる陽都。
正直可愛いよね、と心のなかだけに思う。

「伊月の言葉って魔法みたいで。
言ってくれたら、俺。自己ベスト、ううん。優勝出来る気がするんだよね。」

スランプ期間とかは長かったけど。
苦笑いしながらそういう陽都。
< 77 / 108 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop