俺様幼馴染の溺愛包囲網
「相手?あ、お見合い相手ね?
それは聞いてない。
でも、仕事関係だって言ってたかな。」

「朝倉コーヒーの息子さんだよ。」

朝倉コーヒー。
…あの、最近、ショッピングモールには、
必ず出店している、急成長の会社だよね。

雅ちゃんのご実家は、老舗洋菓子店。
それも、主要デパートには必ず支店があるという全国展開の洋菓子店だ。
名前を聞いて、知らない人はいないと思う。
雅ちゃんは本社の広報部で働いている。

「それで仕事関係なんだ…。」

「朝倉コーヒーは元々、
そんなに大きな会社ではなかったんだ。
息子さんである、副社長がやり手で、
全国展開するほどの会社に成長した。

雅のとこと、コラボ商品を出すことになって
その副社長と雅が担当したんだ。
それで、一目惚れされたらしい。」

一目惚れ⁇

「え、じゃ、お見合いじゃないの?」

「見合い、ていう形の顔合わせだな。
あっちは両親を巻き込んで、
一気に結婚まで持っていくつもりなんだろう。」

「ちょっと待って、聖くん、
なんでそこまで知ってるの?」

「会いに来たんだよ。
俺のこと、調べたんだろう。
学校の前で待ってた。」

え、そこまでやる?
すごいな、その副社長……。

「ぐずぐずしてるみたいだから、
俺がいただく!
って宣戦布告されたよ。」

ハハハ…って……。

「聖くん、笑い事じゃないでしょう!
どうするの?」

「どうしようかな〜

……正直さ、雅の相手、俺でいいのかなって
ちょっと思い始めてさ。

ずっと小さい時から一緒だったから
自分達の社会的な立場の違いとか、
意識したことなかったんだ。

雅は大きな会社の社長令嬢で、
俺はただの教師で。
家はごく普通のサラリーマン家庭。
まあ、貧乏じゃないけどね。
それに、ここはまあ、普通よりは給料もいい方だと思うけど…。

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