俺様幼馴染の溺愛包囲網
「ちょっと遅くなったけど、ちゃんと言葉で伝えろ。
『好きだ、愛してる』って。
それだけていい。」

聞くなり、目を輝かせて、立ち上がる亮平。

「俺、帰るわ!」

「待て!今帰っても、結衣子いないぞ。
雅の離れに今日は泊まるって。」

「は?なんでだよ。こんな時に。
返せよ。雅に電話しろ!」

「多香美と真奈美ちゃん姉妹も来てるんだ。
雅の婚約祝いにな。
女子会邪魔したら1ヶ月は口聞いてもらえないぞ。諦めろ。」

「マジかよ〜〜」

雅はな、ゆるふわの華奢な外見に反して、
毒舌なんだよ。
ま、そこも含めて俺は愛してるんだけどな。
特に結衣子との時間を邪魔したら
何を言われるかわからない。

「ま、1日くらい悩め。
それに、お前、丸腰で行く気か?
それだけ待たせて、手ぶらか?
エンゲージリングとまで行かなくても、
せめてペアリングくらい用意しろ。
食べ終わったらついて行ってやるから。」

「あ、そ、そうだな。うん。
聖、ありがとうな…。」

コイツ、涙目になってやがる。
手のかかる弟だが、素直なところは可愛いもんだ。

「あー、それから、
少なく見積もっても、結衣子を狙ってる男が
2人いる。
どっちにも『彼氏はいない』って言ってた
みたいだから、今週金曜日の納涼ビアガーデンの時、多分あいつら動くぞ。
やっぱり、虫除けが必要だな。」

「は?なんだよそれ!
聖がいながら何やってんだよ!
潰せよ!」

……前言撤回再び。
口の悪い弟だ…。






< 53 / 88 >

この作品をシェア

pagetop