俺様幼馴染の溺愛包囲網
「え?え?前川先生、なぜご存知で……」

「……結衣ちゃん、あなた方の卒業を見送った先生の中で、知らない人はいないと思うわよ?」

………はい?

「『結衣子が保健室の先生になりたいって言ってる!』と言いに来たのは彼。
それは、私も嬉しかったし、是非あなたに来てもらおうと思ったけれどね。
あなたが就職する時は酷かったわ。
『保健室にインターホンをつけろ。
オートロックにしろ。
俺の結衣子が襲われたらどうするんだ。
ここは、ベッドがあるんだ。
危険だろ?』
って。まあ大変だったんだから!
引戸でオートロック⁇
ねえ、小学校の保健室で、いったい何が起こるって言うの。」

「うわ!なんですか、それ!
過保護?溺愛?しかも俺様?すごい彼氏ね〜」

………ハハハ。
亮平、そんなことしてたのか………。

「…それは大変失礼いたしました……。」

バカ亮平!あぁ、もう穴があったら入りたい…。

「そんな彼氏がいるのに、結衣子先生、
彼氏いないって言ってたの?」

「あ、いえ。
その…生まれた時からずっと一緒だったので、なんか付き合うとかそういうのなくて。
曖昧な感じで来ちゃってたんですよ。
このペアリングも、昨日貰って。」

「……あー。なるほど。
今日、若い男性職員もいっぱい集まるからね。
つまりは牽制だ。
……ま、いい判断だけど。」

「知らぬは本人ばかりなり、ってとこですね。
かなりの溺愛ぶりだったのに。結衣子先生気づかないんですから。」

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