青の世界のあなたと、記憶をなくした私との365日の恋物語
今日買い出したものを持って、二階に上がる。

「ここが碧の部屋。気に入ってもらえるといいが・・・」

碧はドアの陰から中を覗くと「わー、素敵!」と声をあげた。

どうやら気に入ってもらえたようだ。

「片付けたら、下においで。」

「はい。」

俺は碧を部屋に残し、リビングに降りた。

缶ビールを開けながら、愛用のZIPPOで煙草に火をつけると、煙を肺に送る。

何度か繰り返すと、頭がスッキリしたような気がした。

二本目の煙草に火をつけ、ボーっとテレビを見ていると後ろで、ドアの
開く音がする。

「蒼さん、片付け終わりました。」

「じゃあ、一通り家の案内をしておこう。」

煙草を灰皿に押し付けながら缶ビールをテーブルに置いて、家の中を案内
しようとソファーから立ち上がった。

キッチン、浴室、お手洗い・・・順に部屋を案内していく。

「碧にお願いしたいのは、掃除と食事なんだけど大丈夫そうかな?」

「多分、大丈夫だと思います。」

「あ、後、俺の仕事の作業部屋と俺の部屋の掃除はいらないから。
 じゃあ、今日は疲れただろうから先に風呂に入って」

「じゃあ、お言葉に甘えて、お先に失礼します。」

碧の後姿を見ながら、今まで一人暮らしの長かった自分が他人と一緒に住む
ことに対して不安がなかったといったらウソになるが、思った以上にすんなり
受け入れている自分にも碧にも驚く。


リビングで二本目の缶ビールを飲んでいると、風呂上がりの碧が顔を出した。

「お風呂、あがりました。」

風呂上がりで上気した顔に、濡れた髪が妙に艶っぽく感じる。

「おい、髪の毛濡れたままじゃ風邪ひくぞ。」

「え、自然乾燥で大丈夫ですよ?」

「いいから、ここに座って待ってろ。」

そう言うと、俺はバスルームに向かって歩き出していた。



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