青の世界のあなたと、記憶をなくした私との365日の恋物語
戻った俺の手にはドライヤー。

碧はソファーの端にちょこんと座っていた。

「ほら乾かすぞ!」

「いいですよ、自分でできますから・・・」

「いいから、大人しく座ってろ。」

碧の髪にドライヤーを当てながら乾かしていく、腰まであるストレートの長い
髪は、明るい栗色だが染めたものではなく地毛のようで、痛みなど全くない
ようにサラサラしていた。

乾かす度に髪から香る甘い匂いが鼻腔をくすぐり、何とも言えない気持ちが湧き
上がりそうな感覚がした。

「はい、乾いたぞ。」

「あ、ありがとうございます。」

俺はいつからこんなに面倒見が良くなったんだ・・・・。


「明日は8時位に起きてくるといい。
 キッチンの説明をするよ。」

「はい、わかりました。じゃあ、おやすみなさい。」

「ああ、おやすみ。」


さっきの感覚を消すように缶に残っていたビールをグイっと一気に空けると
俺も風呂に入ろうとバスルームに向かった。



寝室に入った俺は、何となく眠れずにいた。

この隣の部屋には、碧がいる。不思議な感覚だ。

碧は眠っただろうか?


暫くボーっとしていたが、段々瞼が重く閉じていき、いつの間にか俺は眠りに
落ちていた。




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