青の世界のあなたと、記憶をなくした私との365日の恋物語
「俺はずっと画家になりたいという夢があった。
 俊と梨花は俺の夢を応援してくれて、俺は芸大になんとか合格
 できたんだ。

 俊と梨花は地元の大学に一緒に進んでいて、俺達は大学は違えど
 休みの日には会ったりして、ずっと付き合いは続いていた。

 芸大を卒業すると、俺は画家としての生活を始めた。
 でも・・・現実はそんなに甘くはなくて、仕事もなかなか無く
 食べるのもやっとという生活を送っていたんだ。
 それでも、二人は俺には才能があるって言って、食事を食べさ
 せてくれたり、いろいろ応援して励ましてくれた。

 そのうち二人が結婚することが決まったんだ。

 俺は勿論、祝福した。
 大好きな二人が幸せになるのを心から喜んだんだ。」


俺はここで一旦話を止めて、碧を見た。

真剣な眼差しが俺に向けられている。

俺は、コーヒーを一口飲むと、続きを話出した。


「幸せの絶頂にいた二人に、思わぬ不幸が訪れた。
 俊が事故にあって、帰らぬ人になってしまった・・・。

 俺が事故の知らせを受けて病院に行った時に目にしたのは、
 ベットの上で動かなくなっている俊に縋り付いて泣く、梨花
 の姿だった。

 俺は、俊の死にショックを受けながらも、頭のどこかで悪魔
 の囁きを聞いてしまったんだ。」


俺の言葉に、碧がハッと息を飲んだのが分かった。



< 51 / 86 >

この作品をシェア

pagetop